佐助稲荷神社、移りゆく故郷

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お正月の鎌倉。
佐助稲荷神社に。銭洗弁天の近くにある。
お正月の鎌倉は物凄い人で交通規制もかかるのだけれど、やはり一番混むのは鶴岡八幡宮のある駅の東側で、西側はそこまではない。そうは言っても銭洗弁天は昔から大人気で、最近は佐助稲荷神社も人気スポットになってしまった。子どもの頃は「サスケ? 変な名前~」みたいなポジションだったのに、偉くなったものである。

無数のお稲荷さんが奉納されていて、なかなか見応えがある。インスタバエですな。

犬も車もすごい。

佐助稲荷神社や銭洗弁天方向に鎌倉駅西口から向かうと、最初のトンネルの手前右側に神社がある。子どもの頃から何万回も前を通っていたのに、今回初めて調べてみて、諏訪神社だとわかった。前は市役所のところにあったそうだ。
身近なものでも知らないことが沢山ある。
そういうことに気づけるのが、生きている値打ちだと思う。死んだら知らないままだった。神様ありがとうございます。

鎌倉のこの辺を歩くと「世の中には本当のお金持ちがいる」ということがよくわかる。御成とか佐助は鎌倉でも一番高いエリアじゃないかしら。昔の怪奇小説にでも出てきそうなお屋敷が拝める。
昔は垢抜けなかった町もすっかりおしゃれになってしまって、小洒落たカフェやらチーズ専門店やらがあちこちにある。
でも意外と商売は難しいらしくて、結構流行り廃りが激しいそうだ。
以前は鶴岡八幡宮の二の鳥居のあたりにあったマクドナルドが、お正月は全国売上ナンバーワンとして知られていたのだけれど、結局潰れてしまった。
すべて流れ行くもので、故郷もわたしも同じ場所には立っていない。

移住者や憧れる人の多い鎌倉だけれど、こういう土地でこういう育ち方をしてしまった人間には全く別の風景が見えている。わたしの鎌倉はおしゃれなカフェでも湘南でも文化の香りでも台湾リスでもない。
大体、台湾リスも昔は今みたいにありふれていなかった。見かけたらラッキーくらいの率だった。リスがかじるから電線が全部コーティングされていたりして、駆除すべき、みたいな意見もあった。観光客が餌をあげるからどんどん増えて、今は良い客寄せになった。
色々あって、わたしは地元と一度は完全に切れた。幸いにしてまた遊びに来る関係にはなったけれど、この町に住むことは二度とないだろう。
移住と言えば、沖縄やら石垣島やらにもそういう人たちが沢山いるだろう。彼らの見る沖縄は、ウチナンチュの沖縄と一緒ではない。良い悪いではなく、見える風景が違うというだけだ。別に基地と失業率を求めて移り住むわけではないだろう。
鎌倉だって同じことだ。ある意味、沖縄の反転ではあるし、そこに疑問なく乗っていける人たちもいる。というより、大体そんなものだ。それが正しいのかもしれない。
わたしは故郷を恥じたし故郷もわたしを恥じた。それで流れ流れてどこかに辿り着いたかというと、別にどこにも着いていない。どこかに辿り着いて根を張れるほどわたしは強くなかった。所詮甘ったれで、ここを背負って責任ある生き方をしている人たちの方がずっと立派だった。
どこかに着いたり何かになったり、そんなことがよくわからず、今もわからない。
わからないまま名付けようもない距離で流れ続けるしかないのかも、とも思う。
最近涙もろくなった…と思ったけど、昔からか。

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