鳥羽の廃墟、答志島のマルハチ

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鳥羽、志摩を旅行してきた。
結論から言うと、物凄く楽しかった。
ただ、正直到着した時は、あまりの寂れぶりにちょっと引いた。日本の地方観光地なんてどこも似たり寄ったりの寂れ具合ではあるし、鳥羽界隈に廃墟が沢山あるのは知っていたのだけれど、いざ目の前にするとなかなか凄まじかった。ただ、ある程度見慣れてくると昭和スポットぶりが面白くなってきたし、良い所も沢山あって、とても充実した旅になった。
華やかなところが好きな人には全く勧めないけれど。

東京方面から新幹線で名古屋まで、そこからJR快速みえで鳥羽に向かった。帰りは近鉄特急にしたけれど、これは近鉄の方が正解。JR快速はなんか変な音して奇妙な電車だった。ディーゼルじゃないと思うんだけど、なんか空ぶかししているみたいな音がしてて、あれは何なのか電車に詳しい人に教えてもらいたい。
鳥羽駅に到着、とりあえず名物らしい手ごね寿司を食べる。これはなかなか美味しかった。
で、廃墟。

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ニュー美しまというホテルの関係らしい。

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駅前にある鳥羽パールビル名店街。これも丸ごと潰れている。

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ふと見ると、訳のわからない宝船みたいな遊覧船が走っている。物凄く昭和だ。

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船着場もこんなに。

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海の向こうに見えるのがニュー美しま。

鳥羽駅周辺は水族館・ミキモト真珠島以外に見るところはない。水族館は入らなかったけれど、ちょっと魅力は感じた。この辺りは言わずとしれた真珠の名産地なので、とにかく真珠屋ばかりが大量にある。

答志島という島に渡ることにする。答志島は鳥羽の向かいにある島で、連絡船が通っている。
連絡船の待合所はなかなか綺麗な建物で立派だった。

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でも昭和チックな要素には事欠かない。

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これ、パネル自体は古くないんだけれど、あえて今これをやるのはどうなの。

船に乗っているのはほとんど地元の通勤通学らしい人たち。観光客はほとんどいなくて、一緒に荷物やらをガンガン積み込んでいて、大変生活感がある。
すぐに和具港に到着。一応この近くには答志島温泉というのがあるらしい。

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この写真で見ると普通にのどかな漁港という感じだけれど、到着したのが夕方で、年末近くの風が強い日だったので、物凄く寒くて全く和む余地はなかった

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「歓迎」と書かれているけれど、雰囲気的には歓迎ムードはない

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おしゃれくさいガイドブックに「スローライフを楽しむ」みたいな紹介のされ方をしていて、若い女の子が散策している写真なんかが載っていたけれど、単に生活感あふれる漁村で、観光地ムードは全然ない。むしろ「何しに来た、見せモンじゃねぇ」的な殺気を感じる。寒かったせいで心が荒んでいたのだろうか。
もちろんおしゃれな女の子はいない。カフェなんかない。漁師のおっちゃんしかいない。そこが硬派でシビれる。

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ここも昭和チックな渋い店があるが、営業はしていない。港付近で入れそうな店は一つもなかった。
高度成長期のままのような旅館はあり、一見廃墟かと思って近づいてみたら、電気が通っていた。多分あの辺の旅館に泊まってそこで飲み食いする以外にないと思う。

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この答志島で一つ、大変おもしろかったのが、この「丸に八」マークがどの家の入口にも描かれていることだ。

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この家の入口にも丸八。

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これは地域の風習らしく、魔除け的な意味があるらしいのだけれど、ペンキか何かで手書きしてあるだけなので、何ともおどろおどろしい感じがする。

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大きさも書き方も様々なのだけれど、とにかく至る所に丸八がある。
なんというか、旅人は油断していると食べられてしまうんじゃないかというか、まだキツネが人を化かしていた時代の日本的な妖気があって、とても興味深い。
ちなみに、島のおばあちゃんが喋っている言葉が、盗み聞きしているとかなり聞き取れなかった。わたしは京都に十年以上住んでいて、一般の「標準関西弁」的な言葉は身体の中にある、というかそんなもんなら東京の人でも聞いて分かると思うのだけれど、お年寄りの言葉は結構ディープ方言だ。

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これは「血洗い池」という観光スポットらしいのだけれど、単に民家の裏にある池にしか見えなかった。

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「冷暖房完備」の喫茶店。営業はしていなかった。していても多分ローカル専用な空気だろう。

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とにかく渋い漁村。それにしても、こうして写真で見るとなんか良い雰囲気に見えて不思議だ。やっぱり寒さで心が荒んでいたのだろうか。
島で走っているのは多分半分以上軽トラ

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イソヒヨドリだ!

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渋いけれど、自販機はちゃんと動いている。
元々観光一本な島などではなく、ちゃんと地に足が着いているから、日本の観光産業が寂しくなってきても死んだ世界にはならないのだろう。これで良いと思う。

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眺めはちゃんとイイ。
ここは「ゴミ捨てるな、捨てるなら階段壊す!」みたいな看板があった。ここの階段を釣り人なんかが使っているのだけれど、ゴミを捨てるヤツがいるらしい。それで近所の人がキレている風だった。

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島の路地。原チャが走っている。島の人は、見た限り全員ノーヘルだった。

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宿泊したのは、鳥羽にある戸田屋というホテル。かなり大規模な温泉旅館。
外観的には例によってバリバリ昭和なので「大丈夫かいな」と思ったら、大変快適だった。作りはやや古いものの、中は綺麗だし、料理は美味しいし、宿泊客も結構多かった。あの人達は何がメインの目的なのだろう。そういう自分も客なのだけれど。まぁ、何にせよ経営的にはそれなりにやれているようで安心した。
他にも何軒か大規模ホテルがあり、遠くから見ると「廃業してる?」と思ったのだけれど、帰ってから調べるとちゃんとやっているようだった。
とりあえず、この戸田屋さんはとても良い旅館でオススメできる。
フロント前にドクターフィッシュがいて、初体験したのだけれど、すごく気持ちよかった。
(この旅エントリの写真はすべてkiwi氏撮影)

つづく

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