扇大橋の瑞応寺、禊教発祥の地・梅田神明宮、武蔵千葉氏と中曽根城

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扇大橋駅から東に進み梅島駅へ。
鹿浜、谷在家の由来、西新井大師の読み方で、この少し北の鹿浜から大師前駅あたりを歩いたばかりなのだけれど、打って変わって?充実したエリアだった。
この一帯の方が、地図で見ても道路の形状がぐちゃぐちゃしている。おそらく荒川に近いだけあって歴史があるのだろう。
扇大橋より東、本木の辺りは都内有数の神社密集地帯だと思う。神社密度が高いところといえば日本橋や銀座周辺などがまず挙げられるが、江戸の中心からは程遠い足立区のこの付近もなぜか神社が多い。あまり有名なスポットはなく、どれも地域の小祠なのだけれど、数だけはたくさんある。理由はよくわからない。
ちなみに扇大橋の地名由来だが、扇にある橋だから扇大橋、というのは当然として、扇という地名は1974年(昭和49年)11月1日に住居表示が実施された際に地元町会の代表が集まって決めたそうだ。町域の北を町の要と考えると扇のように南へ広がっていることと、地域住民が扇のように今後ますます発展していくことを願う気持ちを込めた、という。全然歴史的な地名由来ではなかったが、これはこれで面白い。

東に進んで尾竹橋通りを越えて梅島駅圏内に入ると、ぐっと町並みが味わい深くなる。大聖寺の西側をまっすぐ南下し東に折れる道路など、いかにも昔からある道で初めての場所なのに懐かしい感じがする。ちなみにこのコーナーに閉業したガソリンスタンドペリオにしあらいがあった。
旧・奥州街道、日光街道に近いせいか、歴史的重層性のようなものがにじみ出ている。
国道4号線が街道を踏襲した路線だけれど、現在の梅島駅を南北に縦貫する道路が旧街道らしい。梅島駅スタートで北に向かって歩いてみると楽しそうだ。

訪問した寺社は以下の通り。

扇三嶋神社(区内唯一の仁王型庚申塔)
瑞応寺
ここが度肝を抜かれるおもしろスポットだった。
まず、門前に真っ赤な金剛力士像が。これだけで珍スポット的予感に震えるも、まっすぐ続く参道の向こうには早くも巨大な慈母観音立像が伺える。境内を進んでいくと、観音像の左脇にはゴジラ像が置かれていた。なぜゴジラ? さっぱりわからない。
山門そばの茂みには巨大な象のモニュメント、庫裏の近くにはカラフルな沖縄風の獅子像、枯山水風の庭園と、見どころがありすぎる。
あまり知られていないのではないかと思うし、アクセスが良いとも言えないのだけれど、珍寺院好きは見に行って損はない。久々に大物を楽しめた。

扇御嶽神社
吉祥院(山門の像が面白い)
常念坊
田中稲荷神社(鳥居の脇に二本の巨樹)
興野神社(区内最大のイチョウ)
三峯神社
善應寺(四国八十八ヵ所の各本尊を模刻した石仏)
足立区本木北町の稲荷社
本木熊野神社
本木北野神社
本木氷川神社
本木胡録神社(山王二十一仏庚申塔)
光輪寺
出戸八幡神社
本木御嶽神社
宝寿院(芝生の上の像がかわいい)
中曽根神社(中曽根城跡)
常唱庵
関原八幡神社
大聖寺
梅田稲荷神社
遍照院
梅田神明宮
ここは禊教発祥の霊場とのこと。禊教というのは教派神道の一派で、江戸時代の井上正鐵を開祖とする。正鐵は独自の呼吸法を編み出し、江戸幕府の滅亡を予言したことから三宅島に流され客死。でも「三宅島では釣りを楽しんだ」とかいう記述もあり、昭和だったら強健術の開祖みたいな感じの人だったのかな、と想像する。

佐竹稲荷神社
ここも小祠ながら木製の千本稲荷が連なり、こんもりと木々が茂っているのが印象的だった。イボ取りのご利益があるという。

寺社の由来を調べていると、武蔵千葉氏とゆかりのある場所が多い。
千葉氏は下総国千葉荘(現・千葉県千葉市付近)を本拠とした武士団で、鎌倉幕府創建に貢献した千葉常胤(ちばつねたね)が知られる。享徳3(1454)年の享徳の乱以降、千葉氏内部で家督争いが起こり、千葉実胤(さねたね)が武蔵国石浜(現・荒川区、台東区)、自胤(これたね)が武蔵国赤塚(現・板橋区)に逃れた。これが武蔵千葉氏となる。さらに自胤は渕江郷(現・足立区域、淵江郷とも)に移ったことで、足立区と千葉氏の縁ができる。現在の足立区本木に渕江城(千葉城、中曽根城)という城を築いた。
戦国時代になると千葉氏は小田原の後北条氏に従うが、渕江郷に隣接する舎人郷(現・足立区舎人付近)は北条氏と対立する岩槻太田氏配下の舎人氏が支配していた。つまり足立区本木と足立区舎人が代理戦争の最前線となっていたわけだ。
天正18(1590)年に後北条氏が滅亡。武蔵千葉氏もこの地を去ることになった。江戸時代には城があったことも伝説的になっていたという。
城は平成に入ってから発掘調査で存在が確認され、中曽根神社境内に石碑が建てられている。


以上7点、瑞応寺


善應寺


光輪寺


大聖寺前。

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